「おしんが始まるまでに、帰ってこれないかも、と思った。なんとか間に合ったなあ」
キューちゃんを、大急ぎでデッキに入れたあと、お家に入ったお父さんが言いました。
「デッキの外で、リードをはずすんだもの。トビラを閉めてからにしなきゃ」
「うん、それは大丈夫。次はごはんだと知ってるから、逃げない。散歩の途中で、首輪が抜けた」
お父さんは、いい加減な首輪のはめ方をしたのです。
「すぽんと抜けたら、一瞬驚いてたけど、すぐにダッシュした。
もう、歩いたなあ、一台も車が来ないから、安心だけど。
1km以上は追いかけて、途中で、〇〇さんの娘さんが洗濯物を干してた。」
お父さんは、まだ話し足らないみたいです。
「おはようございます。犬が脱走したんです、と言ったら、まあ、かわいい犬、だって」
お父さん、おしんが始まってしまいますよ。
「いちご屋さんの作業場に、若い人がスマホしてた。
若い人に二人も会うなんて、1人でもあり得ないのになあ。
キュートは、やっぱり若いお兄ちゃんが大好きだ。じゃれついていったから、捕まえてもらった」
つい先日の朝は、お母さんから朝ごはんを頂いた後、お父さんからも朝ご飯をもらいました。
「ご飯茶碗が、棚にきちんと置いてあったから、まだやってないと思ったんだ」
夫婦の会話が少ないんでしょうね。
いろいろあって、キューちゃんは退屈しないんです。