老人宅訪問犬
「どこかの村に、老人の家を、順番に訪問して歩く犬が、いるらしい。」
お父さんが、そんな話を聞いてきました。
「ミックスなんだろうか、もうずいぶんの歳で、繋がれてないみたい。それで毎日、だいたい同じくらいの時間に、近くの何軒かのお家を訪ねて行って、オヤツをもらうんだって。
だいたいどこも老人宅ばかりで、なかには一人暮らしのお家もあると思う。待ちかねていて、喜んでオヤツをあげるんだろうな」
「お互い前は行ったり来たりしてたけど、年取って出歩くことも少なくなった。人が来ることもほとんどない」
村のあるお年寄りは、そんなことを言ってました。
わたしキュートのお散歩のとき、たまにお父さんが、近くのお年寄りのお家に、立ち寄ることがあります。
「用事はないけどね、キュートが引っ張るもんだから・・・」
そう言ながら、話し込んで来ることもあります。
「キュートも自分で訪問犬ができるといいのにな。でも、どっかへ行ってしまうかもしれない。 放すのは無理だ。やめとこう」
放すことはちよっと難しい時代ですが、犬離れができてないのも確かです。