ヤギのお乳、まだ飲ませてもらってない その1
「きついヤギだもんで、まんだチチが採れんのだわ。ようけあちこちから飲みたいと頼まれとるけど、どうにもならん」
「えっ、ということは、生まれたの?何匹?」
「ひとつづつ。あげようか。飼わんかね」
チチ飲みたいリクエストは、多少儀礼的とはいえ、自分も去年の秋から出してありました。でも、乳が出るということは、子ヤギの赤ちゃんが生まれたということです。そっちも気になります。
「ヤギの乳が、いちばん母乳に近いらしいね。母乳の出が悪くて、子どもの時飲まされたって・・・。お前はヤギの乳でそだったから、ヤギの子だって、よう言われたわ」
ある少し年下のお姉さまが言いました。昔はそんなこともあったのでしょう。
「きついヤギがおって、なかなか搾らせてくれんことがあるねえ。蹴っ飛ばされたり、噛みつかれたりする。杭を4本立てて、そこに一本づつ足を縛り付けて、搾るんだわ」
それはいくらなんでも、虐待ではないか、と思いましたが、黙っていました。
それよりも、写真が欲しい。
「だめよ。子ヤギなんて、絶対にもらってこないでね。キュートだけでも大変なんだから」
背中にそんな声を聞きながら翌日、村に一軒だけのヤギを飼っているお家へ出かけました。
で、上の写真は、そのきついはずのヤギのお母さんです。
以下、別の日に続く