「朝起きたら、うっすらだけど雪があったから、今日はやらないかと思ったら、甘かった」
などと、臆面もなくしゃべるのは、約一名だけ。
みんな当たり前の顔で出て来て、「集落全体を金網で取り囲んで、人間は檻の中で暮らすのだ作戦」は、始まりました。
2011年12月17日、第一回の獣害対策作戦の続き物語です。
それにしても、寒かった。しっかり寒さ対策はして来たつもりでした。でも、軍手の上に園芸用の皮手袋をしたのに、指先が冷たくて冷たくて。たぶん外気温マイナス3℃、とかだったでしょう。
足元は底も生地も厚い重い長靴に、綿のソックス2枚履きでかろうじて大丈夫でした。
担当したのは、金網を縛り付けるばかりにセットして、押さえている作業。意外にも、ネットの幅の1メートルずつを、ゆっくり進んだせいか、急斜面の登りもそれほどきつくはありませんでした。
ただ、網が足らなくて、道から運び上げた時は、たった2枚でもきつかった。枝に引っかかったり、足にぶつかったり、もう大変でした。あらかじめ大量に運び上げてくれたメンバーに心から感謝でした。
そうそう、作業がしやすいように、幅2メートルほども、笹、この地方でいうスズが以前に刈ってあって、それはありがたいのだけれど、倒れた笹に乗ると滑りました。手でもついたら、笹の切り株に刺さりそうでした。
倒木があると、金網の下にすきまができるので、みんなで取り除こうとするけれど、重いし、凍りついてるしで、押しても引いても動かない。仕方がないので、ノコギリで切ったりもしました(切ったのは、もちろんわたくしではありません。他の人たちです。
ああ、我が人生の晩年にこのような苦労をするなど、思っても見なかった。
と言いたい所ですが、実は、とても楽しかった。どうしてだろう。やっぱりわたくしって変なのでしょうか。
(別の日にまだまだ続く)