ああ日曜ソフトボールは
その大学の寮では、日曜日の朝になると、4年生の恐ろしげな声で寮内放送がかかるのでした。
昔々、学生時代のことです。
「今からグランドでソフトボールをやるから集まれ」
なんといっても、最上級生の4年生の命令です。みんなが、なにもかも放り出してグランドに駆けつけたものでした。
いや、実は、誰もがみんな、他にさしてやることもなかったものですから・・・。
「おい、2年生や1年生があんまり出てきとらんなあ。どうなっとる。おれらあが1年生のときは全員そろって出てきたもんだ。3年生がだらしないからだろう。しっかりせんか。」
3年生の我々は、せっかく万難を排して、出てきたのに、厳しい4年生のお言葉です。
そんなこといってもねえ。
そうこうしているうちに、なんとか無事に4年生が卒業していって、いよいよ我々が今度は4年生。風さわやかな5月の連休ともなれば、号令をかける絶好の機会です。
「今からグランドでソフトボールをやるから集まれ」
ああそれなのに、グランドに集まったのは我ら4年生と、あとは気の優しそうな1,2年生がパラパラ・・・。
「あのー、みんなはデートだそうです。バイトの人もいます」
デート・・・。
たった一学年の違いで、あの差はなんだったのでしょう。
すぐ下の学年から、ころっとかわりました、と言いたいわけです・・・。
寮の伝統ある日曜ソフトボールは、我らの学年を最後として、あっさりと消滅したのでした。
写真は、4/23の新野・矢野の愛宕様の桜