玉村さんのヴィラデスト(2)
レストランでコーヒーとジュレをいただいているうちに、階段が目に入りました。
「下へ降りてもいいですね」
上品過ぎるところは、なんとなく不安になります。
「ええ、どうぞ。展示室になっています。ワイナリーもほんの少しだけ、ごらんいただけます」
ほんとうにどの人も、きちんとしつけられている感じがしました。そういえば、男性はハーブ園で、ラベンダーの手入れをしている若い男の子を、一人見ただけの気がします。
階段を降りると、大好きな玉村さんの作品が、何点もかざってありました。
なかでもぶどうの絵の大きな作品があって、それはすっかり気に入ってしまいました。
でも、上の写真には写っていません。写真の窓からは北アルプスが見えるということでしたが゛あいにくの曇り空でした。北アルプス北部だけでなく、槍や穂高まで見えるみたいでした。
素人考えですが、ワインに特別力が入っているだけの事はあるぶどうの絵だ、と思いました。245,000円、金額も金額ですが、幸か不幸か、我が家にはそんな大きな絵を飾る場所がないのでした。
それからショップへ戻って、「花摘む人」という本を買いました。ワイナリーを完成させるまでの苦労が書いてあります。そういえば、肝心のワイナリーを覗き見ることは忘れてしまいました。
ワインのほうも、もう6月で売り切れた、とのことでした。
家に帰って、開いてみたら、表紙裏に玉村さんのサインがありました。さすがこんなところにまで手が入っていると、感心しました。
まったく、建物も屋外も、本当に神経の行き届いたとてつもない玉村ワールドでした。
以前、名古屋の三越で、「田園の快楽」に直接サインをしてもらったことがあるので、これでサインのある本は二冊になりました。
たぶん、本そのものは、文庫本も入れれば、10点近く持っています。