原木シイタケをやめた
「原木シイタケですからね。本当の美味しさですよ。」
何年も前、名古屋へ特産物販売に出かけた時のことでした。
販売が始まってすぐ、そんなふうな口上で、みんなで一生懸命やってました。
もちろんよく売れました。
そして一息ついた頃、となりのブースを見たら、なんとそこでは菌床シイタケを並べていました。
「そっちが売り切れたら、その後に、菌床も売れると思ってたよ」
なんとおおらかな。
もうはずかしいかぎりでした。
原木か菌床か、味に好みがあるから、どちらとも言えないでしょう。
ただ、この辺りは冷涼な気候のため、じっくり成長したいいコナラの木があるし、原木栽培ばかりなのです。
それはさておき、ある原木シイタケのプロが、もう栽培をやめるそうです。
「この歳では、木を伐れんようになったでなあ。
人に頼んだでは、手間賃ばっかかかって、元はとれん。」
たしかに、わが家でも楽しみでやっているだけで、道の駅で買った方が、実際は安あがりなのです。
「雨が降る前に採らんといかん。濡れたのではしょうもないでなあ。
歳をとると、それも手早くはできんようになってきた」
それに、気象条件によって、さっぱり採れないこともあります。
いやこの頃は、毎年のように不作みたいです。
かくて、原木栽培シイタケ、どんどん希少品になっていくように思います。