キュートの夏第一部、もうすぐ終わる
「キュート、お父さんが家から受付のほうへ行こうとすると、キャンキャン吠える。」
お母さんが言いました。
「わたしも連れてって、て。それで、連れて行ってもらえないと、柵の間からじっーと見てる」
お父さんが、車庫兼用の受け付けであれこれしていると、やがて坂道を車が上がって来ます。
「小さい子の声でも聞こえたら、もうたいへん。網戸は引っ掻くは、デッキを走り回るは、大騒ぎ」
リードをつけてもらったキューちゃんは、お母さんを引きずって、受付所へ急ぎます。
「かわいい、コーギーだよね。おとなしいねえ、吠えないよ」
最初は怖そうにしてた子どもたちも、近づいてきて手を出します。
恐る恐る背中にさわったりします。
キューちゃんは、うつ伏せになったまま、じっとしています。
そのうちに、子どもたちはうながされて、しぶしぶ帰っていきます。
「この頃、キュート、お客さんが帰ろうとしても吠えなくなった。」
「大人になったというか、ほんとうに物静かになった。大丈夫かなと思うくらい」
ところで、ブルーベリー花の谷、いつ終園するのでしょうね。
今日なのか、あすなのか、お父さんは明後日まで、できないものかと、探っているようです。
「せっかく売木へきた子どもたちに、遊び場提供になればと思うんだけどね。でも、実が無いなんて言われたら、身が持たない。」
お父さんの思案は続きそうです。
いずれにしても、キューちゃんの夏第二部、静かな静かな花の谷の始まりは、もう目の前のようです。