キューちゃんのお願い
「ねえ、キューちゃん、さっきからおかしくない?サークルの中で、柵に飛びついたり、動き回ったりしている」
「ほんとだ、どうしたんだろう。こんなこと初めてだ」
ふたりは、キューちゃんを、サークルから部屋の中へ出してくれました。
「あれっ、今度はテーブルの周りをぐるぐるまわり歩いてる」
テーブルは、外のデッキに出るガラス戸の近くにあります。
「尻尾はあがっているし、アゴもあがってる。なんかうれしそうに歩いて回っているよ。どうしたんだろう」
「確かにうれしいみたい。外に動物でも来ているかもしれない。それとも地震でもあるんだろうか」
まったく、なんにもわかってくれない親たちです。
「やっぱりサークルに戻してやろうか。もう夜も遅いのに、興奮しすぎだよ。」
お父さんは、キューちゃんを捕まえると、無理やりサークルに入れてしまいました。
するとしばらくして、お母さんが叫びました。
「あっ、キューちゃん、下痢してる。かわいそうに、サークルの中なんかで、したくなかったんだよ」
お母さんは、あわててキューちゃんを抱えて、デッキへ出してくれました。
サークルの中のタオルを、新しいきれいなのに、取り替えてくれました。
翌朝、散歩の後で、お父さんが言いました。
「少しは柔らかかったけど、もう大丈夫の感じだった。治ったみたい」
「そう、よかった。ほとんどなったことがないから、思いもしなかった。これからは気をつけてあげなければ…。」