軽トラの荷台に
「農家民泊の時は、軽トラの荷台に乗せてくれて、ありがとうございました」
去年の秋、東京の中学生からのお礼の手紙に、そんなふうに書いてありました。
人聞きの悪い、そんなこと絶対にするわけない。
入村式でも、担当の人から厳しく注意がありました。「村内の日帰り温泉こまどりの湯には、マナー良く入りましょう」などとともに、いつも注意があるのです。
ことの次第はこうです。
「そこに軽トラがあるけど、荷台に乗ってみるか?」
農作業のあと、おやつの時間に冗談で言ったのでした。
「わあ、うれしい。ほんとうにいいんですか」
「車庫に停まっているのに乗るくらいなら構わんよ。自由にどうぞ」
中学生の女の子4 人して大騒ぎでした。ピースをして、写真を撮ったり、なにがそんなにうれしいのだろう、と思いました。
それだけのことなのに、お礼状にまで書いてもらえるなんて・・・。
先週土曜日、大原麗子の寅さん映画、高校生を軽トラの荷台に乗せて、走り去る場面がありました。
もちろん、今なら違反です。その頃でも危険でした。そんなこと、絶対させるつもりはありません。
でも、万事そのようにゆるやかな時代に生きた子どもたちは・・・、と老人は思うのでした。