売木村のクマ事情
「もともとあんまりこの辺りは、いないと思っていた。」
花の谷の北側には、比較的低い山が、東西に連なっています。
奥には、より高い山々が続いています。
その辺りには熊がいて、冬になると西のほうへ移動していく。
20年ほど前だったら、近所の猟師さんから、聞いたことはありました。
でも、10年くらい前に、獣除けの柵が、村の周りに張りめぐらされました。
熊出没情報も、ほとんど聞いたことがないつもりでした。
「いやいや、南一の奥のほうで、この秋に熊を見た話はある。
茶臼山へ行くあたりでも出た、とついこの間、村内放送で言ってた。」
それは知りませんでした。
花の谷は、村の北部にあります。
熊の出たのは、南部です。
けれど狭い村だし、いつ北帰行を思いつくかもわかりません。
なんだか怖くなりました。
そうだ思い出しました。
10年くらい前、1キロくらい先の同じ集落の栗畑で、熊の巣を見かけたことがありました。
国道のすぐ脇の栗畑でした.
栗の木に登って、葉のついた枝を、お尻の下に敷くのだそうです。
ウンチも落ちていました。
今思えば、よくそんな所で、呑気に栗を拾ったものでした.
「今年はどんぐりの実は成っている。
けど、背中を樹にこすりつけた跡はない。
あんまり出てきているようでもないしなあ。」
熊の話、とても興味があります。
しかし、出くわしたくはないのです。