毎朝、もくめん置場に、潜り込んで遊んだ
中学生の頃のことです。
家具屋の同級生がいて、その店の前にみんなが集まってから、登校していました。
ところがその向かいに、もくめんの倉庫がありました。
木毛と書いて「もくめん」と読む、木材を薄く削って作った緩衝材の倉庫です。
その町には、陶磁器工場があちこちにあって、当時はその詰め物用に、木毛を使っていたのです。
今ならプチプチでしょうか。
その木毛は、1メートル前後の直方体にかためて、倉庫にうず高く積まれていました。
そして、何とその中に、中学生の身体なら、潜り込むことができました。
毎朝まいあさ、入り込んで遊ぶものだから、モグラの穴みたいに、あちこちに通路が出来上がっていました。
洞窟探検のできる、中学生にはとても魅力的な遊び場でした。
もちろん制服は木くずだらけ、ほこりまみれ、その格好で学校へ行っていたはずです。
あの頃は、制服ひとつで一年中着たきりスズメ、どうもなかったのでしょうか。
倉庫の持ち主は、気が付いたはずと思いますが、どうだったのでしょう。
いつからか、もう遊ばなくなったから、誰かが叱られたのだったかもしれません。
先日、テレビで高知県の木毛工場をやっていて、思い出しました。
とてもエコな木毛、今でも作っているところがあるなんて…。
さすがに、もう一度潜り込んでみたい、と言うほどではありませんが。